「チェンソーマン」に出てきたイソップ物語    「田舎のネズミと都会のネズミ」とは?

42話で、レゼがデンジに向かって田舎のネズミと都会のネズミどっちがいいと問います。

これは、イソップ寓話の1つです。寓話には人生の教訓を得られる場合がありますね。この話からどういった教訓が得られるのか、他にも教訓を得られる寓話やおとぎ話などがあるかどうかを探っていきます。

「田舎のネズミと都会のネズミ」のあらすじ

田舎に住んでいる一匹のネズミが、仲の良い都会の一匹のネズミを招待します。二匹は畑へ行き、トウモロコシや大根などを一緒に食べますが都会のネズミは言いました。「君はよくこんな退屈な場所で暮らせるなあ。僕のところへ来れば、珍しいものが一杯食べられるよ」

田舎のネズミは、都会のネズミと町へ向かいます。ある建物に到着すると、町のネズミは自慢げに肉やパン、チーズなどの珍しい食べ物を田舎のネズミに見せました。田舎のネズミは喜んで食べようとした時、何者かが扉を開けたので、二匹は慌てて逃げました。

そして、彼らが食事を再開しようとすると、また別の誰かが入って来ました。田舎のネズミは、急いで帰り支度を整えて言いました。「素晴らしい御馳走はあるけれど、危険が多いのは御免だ。僕は危険のない畑で食べる方が合ってるよ」

教訓

都会のネズミにとっては危険でも美味しいものが食べられる方がいいし、田舎のネズミには安全な田舎の方がいい。

何が良いかは人それぞれというお話です。結末が切ない童話などと比べると何ということない話なのですが、藤原タツキ先生にかかると、切なく聞こえてしまうのが不思議です。雨が降る夜、レゼと天使が話すからでしょうか。

マキマの手下のネズミが主人公なのも面白いです。レゼも天使も田舎のネズミがいいと答えています。天使は分かりますが、レゼも本当は平和主義者だったんですね。それなのに、天使はレゼに止めを刺しています。マキマが操っているのだけれど、何とも余韻が残る終わり方でした。マキマが田舎のネズミが好きと言ったのは、レゼや天使が好む理由と全く違いました。彼女の恐ろしさが垣間見れるシーンでした。

デンジが都会のネズミがいいと答えるのも、彼の単純で分かりやすい性格を示していました。

結末が切ない童話

ごんぎつね

ごんはいたずらっ子の一人ぽっちのきつねでした。だがある日、兵十の母親が亡くなりって、彼が自分と同じ一人ぽっちだと知ります。それから、ごんは、兵十のために栗や松茸を届けます。ですが兵十は、ごんが山の恵みを届けてくれているとは知りませんでした。ごんが家の裏口からこっそり入るのを見つけた兵十は、いたずらをしていると思い、銃でごんを撃ってしまうのでした。

教訓…共感?

赤い靴

赤い靴の魅力に取りつかれた少女カーレンが、周りの制止も聞かずどこへでも赤い靴を履いて出かけます。育ててくれた老婦人が亡くなりそうになった時も、赤い靴で舞踏会に出かけました。その為、靴が脱げなくなり、昼も夜も踊り続ける呪いにかかってしまいます。その為、首切り役人に足の切断を頼むと、切り離された赤い靴と両足は踊りながら遠くへ行ってしまいました。

教訓…反省?

幸福の王子

宝石と金箔で飾られ豪華な像の王子は、町の貧困を知って悲しんでいました。寒い冬が来る前に暖かい地域へ移動する途中のツバメが、王子の訴えを聞いて町中の困っている人たちに宝石や金箔などを届けてあげました。両目のサファイアも届けた為に、目が見えなくなった王子のために、ツバメは街に残ることを決意します。冬が訪れ、王子の姿はみすぼらしくなり、ツバメも次第に弱っていきました。ツバメが王子の足元で力尽きると、王子の心臓は二つに避けてしまいました。

教訓…自己犠牲?

人魚姫

海で暮らす末娘の人魚姫は、嵐で船から投げ出された王子を助け、浜辺で介抱します。王子が目を覚ました時は、人魚姫は姿を隠していたので、他の娘が助けてくれたと勘違いします。王子に再び会いたいと思った人魚姫は、魔女に美しい声と引き換えに両足をもらいました。王子の前に現れた人魚姫を彼は可愛がりました。ですが、王子は自分を助けてくれた娘のことで頭がいっぱいでした。やがて、その娘との結婚話が持ち上がり、人魚姫が途方に暮れていると姉たちがナイフを持って海上に現れます。そして、王子の胸にナイフを刺すと、再び一緒に海で暮らせると言いました。でも、人魚姫はナイフで刺すことができず、海の泡となって消えたのでした。

教訓…純愛?

フランダースの犬

おじいさんと犬のパトラッシュとネロは、貧しいながらも幸せに暮らしていました。ですが、おじいさんが亡くなってしまいます。ネロは働きながら、絵のコンクールにかけるしかなく、彼をよく思わないアロアの父によって辛い日々を過ごします。やがて発表の日、選ばれたのは別の絵でした。憧れのルーベンスの絵の前で、パトラッシュと共に息を引き取りました。

教訓…金持ちは貧しいものを下に見る?

浦島太郎

浜辺で虐められていたカメを助け、そのお礼に浦島太郎は竜宮城に連れて行ってもらいます。そこで乙姫様に迎え入れられ、楽しい毎日を過ごしました。そろそろ村のことが気になった浦島太郎は、乙姫様に帰る旨を伝えます。すると決して開けてはいけないと念押しされ、玉手箱をお土産にもらいます。村に戻った浦島太郎は、知っている人が誰もおらず、そ何年もの月日が流れていたことを知ります。

教訓…人の言うことは聞く?

マッチ売りの少女

雪が降り続く寒い夜、みすぼらしい恰好をした一人の少女が路地裏でマッチを売っていました。マッチを売らずに家に帰ると父にぶたれてしまいます。ですが、マッチは1箱も売れませんでした。通りの家の窓から漏れる光と共に楽しそうな笑い声が聞こえます。少女がのぞくと、美味しそうな料理がたくさん並んでいました。いよいよ寒くて凍えそうになり、暖を取ろうと少女は売り物のマッチをこすり、火を付けました。すると、火の中にはおいしそうなごちそうがたくさんありました。マッチの火が消えたので、再び少女は次のマッチをこすります。今度は、クリスマスツリーが見えました。次のマッチをこすると、優しかったおばあちゃんが現れました。「おばあちゃん!」少女はおばあちゃんが消えないように、残りのマッチを全てこすります。次の日の朝、マッチの燃えカスを握りしめた少女が微笑みながら死んでいるのが発見されました。

教訓…幸せは人それぞれ?

少女はもうぶたれることもなく、寒さに震えることがないし、大好きなおばあちゃんと一緒にいられるので、ハッピーエンドなのでしょうか。

「田舎のネズミと都会のネズミ」と教訓は似ていますが、悲劇的なレベルが全然違いますね。

まとめ

悲劇的な結末の童話は、何とも言えない余韻を残しますね。

「チェンソーマン」には教訓はあるのでしょうか。こうすれば良かった、あの時、こうしておけばというシーンはあまりないように思えます。全て、マキマの手の内のように感じます。

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