呪術師最強と呼ばれる五条悟には、かつて親友と呼べる人物がいました。
その人物とは夏油傑。
二人は高専時代の同級生で、互いの背中を預けて闘っていたほどの関係性でした。
しかし、夏油は呪詛師としての道に進み、二人は敵対関係に…。
今回はそんな切なすぎる二人の関係性を解説していきます。
目次
キャラ紹介
■五条悟
無下限呪術と六眼を併せ持つ呪術師最強の男。現在は虎杖悠仁達の教師として、呪術師の育成に励んでいる。普段はチャランポランで飄々とした振る舞いをしているが、呪術界を変えたいという熱い想いを秘めている。
■夏油傑
かつては五条悟の同級生だった男。高専時代は、呪術師は非呪術師を守る存在と考えていたが、とある事件がきっかけで非呪術師を守ることに疑問を抱くようになり、最終的には呪詛師の道に進んだ。夏油の目的は、非呪術師を滅ぼし、呪霊の生まれない世界を作ること。
夏油が闇落ちしたきっかけ
高専時代の五条と夏油の関係性がわかるのは、懐玉・玉折編です。(コミックスでは8巻・9巻)
高専時代の夏油は、呪術は非呪術師を助けるためにあると考えていました。そして五条はその考えを否定し、偽善者ぶる夏油のことを馬鹿にしていました。
主義は異なりますが、互いの存在は認め合っていた二人。
この頃の五条は闘いの場において「俺たちは最強だから」と発言していました。このまま何事もなく時が流れれば良かったのですが、ある任務をきっかけに夏油の運命は狂い始めます。
その任務とは、天元の器となる星漿体を護衛すること。
天元は不死の術式を使える存在で、500年に一度、星漿体と呼ばれる器と同化することで肉体の変化を止めています。その星漿体として選ばれたのが天内理子という14歳の少女でした。
天内理子は星漿体の存在を快く思わない存在から命を狙われています。そこで、五条と夏油は彼女の護衛を任されました。
任務初日は組織から送られてくる刺客を難なく退けていましたが、あと数時間で護衛が終わるというタイミングで伏黒甚爾が登場し、事態は一変。
伏黒甚爾は五条を刺し、夏油にも重傷を負わせ、ついには天内理子を殺害しました。幸運にも五条と夏油は一命をとりとめましたが、天内理子は帰らぬ人に。
そのことに打ちひしがれていると、星漿体の少女の死を拍手喝采で称える非呪術師の集団が現れました。
わずか14歳の少女の死を喜ぶ非呪術師。
その光景を目の当たりにし、夏油は非呪術師が守るに値する存在なのか疑問を抱くようになりました。
そんな時、決定的な事件が起こります。
旧■■村の任務に向かった夏油は、地下牢のような場所で監禁されている双子の少女を目撃します。
「これは何ですか?」と尋ねる夏油に対し、村民たちは彼女たちが呪術師だからという理由だけで監禁していることを話しました。それを聞いた夏油は、ついに糸が切れ、村民たちを殺害しました。
そこから夏油は非呪術師を守るに値しない存在と認識し、呪霊を生み出す元凶である非呪術師を抹消することを計画しました。
考察
親友を失った五条悟の心情
五条にとって夏油はたった一人の親友でした。
そんな夏油を失ったことで、五条は荒れるのではと思いきや、公式ファンブックによると「あの後のほうがしっかりしてそう」と記載されていました。
その言葉から察するに、五条は夏油が呪詛師の道に進んだのは、少なからず自分のせいだと負い目を感じているのではないでしょうか?
自分が五条の心の変化に気付いて、支えてあげていたら、こんな結果にはならなかった。そんな後悔の念に襲われていたと予想できます。
だからこそ、もう二度と大切な仲間を失わないように、しっかりしようと決めたのではないでしょうか?
闇落ちしても二人は親友だった?
五条は夏油が呪詛師の道に進んだ後も、夏油のことを親友として認識していました。そのことがわかるのが、0巻のラスト。
五条は夏油のことを「僕の親友だよ、たった一人のね」と発言しています。
「親友だった」ではなく、「親友だよ」と現在進行形で語っていることから、呪詛師になった後も夏油のことは親友として扱っていることがわかります。しかし夏油は五条のことを「親友だった」と語っています。
そのことがわかるのが、13巻で登場する奈々子の回想シーン。
「五条悟って何者?」と質問する奈々子に対し、夏油は「親友だったんだ、ケンカしちゃってそれっきり」と答えています。そのことから、呪詛師の道に進んだ自分は、五条から見放されたと感じていたのかもしれません。
だけど、夏油自身は呪詛師になった後でも、五条のことを親友として認識していたと思います。0巻で二人が再会した時に、夏油は笑いながら「悟―!久しいねー!」と言っていたことから、少なくとも嫌っているわけではないということがわかります。
二人の立場は大きく変わってしまいましたが、そんな状況でも互いに親友として認識していたと考えられます。
0巻の最後に五条が言ったセリフとは?
0巻のラストで夏油は五条に殺されますが、その直前に五条は夏油に何かを伝えています。
コミックスでは「――」となっており、何を伝えたのかはわからない演出になっていますが、その後「最後くらい呪いの言葉を吐けよ」と夏油が言っていることから、夏油にとってはうれしい言葉だったことが予想できます。
また公式ファンブックでは、五条のセリフは0巻の中で言っていると明かされています。五条の言ったセリフで夏油に関するものとなると、やはりこれではないでしょうか?
「傑、お前は僕の親友だよ、たった一人のね」
その言葉を受けた夏油は、あっけにとられながらも、つい笑ってしまい「最後くらい呪いの言葉を吐けよ」と言ったのではないでしょうか?
もし夏油が闇落ちしていなかったら
もしもの話をしても仕方がありませんが、つい考えてしまいます。
もしも夏油が呪詛師の道に進んでいなかったらどんな人生を歩んでいたのか?
人当たりも良く、正義感にあふれた夏油であれば、高専の教師になっていたのではないでしょうか?もしかすると、五条先生の立ち位置が夏油になっていて、若い呪術師の成長を手助けしていたのかもしれません。
仲間想いで、人の痛みがわかる夏油であれば、きっと良い教師になっていたことでしょう。そして五条は冥冥のようにフリーランスの呪術師として、気ままに活動していたのかもしれません。
時々、高専に遊びに来て、夏油の生徒たちを品定めするという関係性だったらとても面白いですね。
そんな世界だったら良かったのに、と思わずにはいられません!