名探偵コナン 映画「ゼロの執行人」を観てみて。~社会現象を巻き起こした男 安室透~

あらすじ

東京サミットの開催が予定されている「エッジ・オブ・オーシャン」で起きた大規模爆発。
そこには、公安警察の安室透の姿が映りこんでいた。

この爆発は当初、公安警察の点検中に偶然起きた事故とみられていたが
捜査を進める中で、容疑者とみられる指紋が見つかる。
何とそれは「毛利小五郎」のものだというのだ。
全く身に覚えのない小五郎だが、ついに逮捕されてしまった。

小五郎を犯人とする証拠も動機も不確かなものばかりのため、安室を問い詰めるコナンだったが
あっさりとかわされてしまう。
そればかりか、毛利小五郎を犯人としておきたいという態度や行動が見え隠れするため
「安室は敵なのではないか?」という疑念さえ抱いてしまうほどだった。

父親の逮捕を悲しむ蘭のため、独自に捜査を開始するコナン。

そんな時、小五郎の弁護を引き受けたいと「橘 境子」という弁護士が現れた。
彼女は「ケー弁」と呼ばれるフリーの弁護士だという。
「毛利小五郎」という有名人の弁護を引き受けたくないとして、弁護士選びが難航しているということもあり
力不足は否めないながらも、彼女に弁護を依頼することになった。

対する検察側の担当検事は、公安事件のスペシャリスト「日下部 誠」検事。
橘弁護士とは違い、法曹界では敏腕だとして有名な人だった。

毛利小五郎を釈放するための画策もむなしく、ついに起訴が決まってしまう。
公判前整理手続きのため、裁判所を訪れたコナンの前に、安室と彼の部下 風見が現れた。
そして、安室が去ったあと、風見から安室は人殺しだという衝撃的な言葉を聞かされる。

時を同じくして、不正アクセスを行うソフト「Nor(ノーア)」が、
エッジ・オブ・オーシャンの大規模爆発に使われていたという可能性が浮上。
これは、以前起きた「NAZU不正アクセス事件」にも使われていたものだった。

そして、その直後に東京都内で電気製品が次々に発火するという事件が発生。
これをIoTテロだと見抜いたコナンによって、小五郎にそのような犯行は出来ないと証明され、無事に釈放される。

そして、この「Nor(ノーア)」によって、誰かがNAZUに不正に侵入し、
火星から帰還する大型無人探査機「はくちょう」の進路を、ある地点に変更していたことが判明。
警視庁・公安警察・総理官邸を巻き込み大パニックとなる。

果たして犯人は一体だれなのか。その目的は何か。
そして、安室透という男は敵か味方か。

大切な人を守るため、それぞれの想いが錯綜する。

おすすめポイント

安室透という男が持つ、謎のベールに包まれた素性と国を想う純粋さ

今回スポットが当たっているのは「安室透」、本名は「降谷零」。
警察庁警備局警備企画課(通称:ゼロ)の公安警察捜査官の仕事として、
黒の組織の潜入し「バーボン」というコードネームも与えられています。

普段は、喫茶ポアロのアルバイト 兼 探偵「安室透」として活動しているため
いわゆるトリプルフェイスです。

それに加えて素性もかなり謎の多い男のため、映画の後半までどういう意図で行動しているか本当に分かりませんでした。

日本の公安警察は「公共の安全と秩序」を維持することを目的とする警察といわれていてつまりは、純粋に日本と日本国民をテロなどから守るために働いているのです。だからこそ、非合法な捜査でさえも厭わない。強い信念に突き動かされているのが、ものすごくカッコいいのです。

極めつきが、コナンが映画のクライマックスで言った
「安室さんて彼女いるの?」に対する答え。これで日本中の特に女性が虜になったわけですね。
(ここはぜひ見ていただきたいポイントなので、ネタバレ回避しておきます。)

相棒の脚本家が放つ 良質ミステリー

「ゼロの執行人」の脚本を担当されたのは、あの「相棒」でも有名な櫻井武晴氏。アニメーションの脚本は初めてにも関わらず、コナンの世界観をしっかり踏襲した素晴らしい作品に仕上がっていました。

ただ出てくる用語が本当に難しかったのも、事実です。
公安警察・公安検察・警視庁・警察庁などなど、どこに誰が所属して、どういう上下関係があるのか
私も数回見るまで分からなかったので、ここで少し簡単に解説しておきたいと思います。

警視庁

目暮警部や高木刑事らが所属しているところで、管轄は東京都です。
事件が起こると警視庁の刑事が出てきますが、あれは東京で起きた事件だからなんですね。

警察庁

日本の警察のトップで、国が管轄しています。つまり、警視庁の「上」です。
この中の「警備局」に所属しているのが安室透。
映画の中で度々偉そうな言い方をしているのは、警視庁の目暮警部より位が上だからと思えば納得です。

検察庁

被疑者を起訴するかどうかを決定するところで、検察官だけがそれを決定することが出来ます。

コナンの中で「公安」とよく出てきますが、
警視庁・警察庁・検察庁それぞれに「公安」というものがあり、この中で圧倒的に力が強いのが「警察庁 公安部」。
アメリカで言うところの「CIA(中央情報局)」と考えると分かりやすいかもしれません。

生み出した社会現象

そして何と言っても「安室の女」というパワーワードが生まれたのが
この「ゼロの執行人」という映画。

国と国民を守るためならどんなことでもやってやる!という強い信念と
それを全うする頭脳・行動力というパーフェクトな彼に、多くの女性が虜になりました。

そしてこの「安室の女」が、安室透を100億円の男にするべく、映画館に足繫く通ったというのは
当時ニュースで話題になったのも有名な話です。(残念ながら興行収入は91.8億円止まりでしたが)

名探偵コナンは25年以上の長期連載になっているため、
なかなか新規ファンを生み出しにくいという現状がありました。
しかし、この安室透人気に火がついたことで、若い女性のコナンファンが増えたように感じます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です